題詠blog2012で出会った歌の達人の一人、流川透明さん。
この方は詩人さんなのですが、なんというか、歌のストーリー仕立てがすごく上手くて、
どの歌も前後の物語をあれこれと想像してしまいます。こういう歌に目がない私は、流川さんの題詠に秘孔を突かれまくりでした。
お題「秋」:一図に待ち続ける切なさが見事に表現されています。どうか、あの人に秋が来ますように。
お題「企」:こういう素直じゃないカップル、大好きです。末永くお幸せになりやがれ。
お題「的」:「未来信じぬ愛もまた愛」!!「未来信じぬ愛もまた愛」!!!←フレーズが好き過ぎてぶっ壊れた
どの歌からも一本の小説が書けそうな、すばらしいストーリーテラーだと思います。
ふたたび、流川透明さん。今回は切なくなる歌三首。
多くの読者が「その気持ち、わかるわかる」と共感してしまう、確かな題材の選択眼に嫉妬してしまいます。
お題「チャンス」
毎日「明日があるさ」と言い訳しながら、いつのまにやら卒業式。学生の皆様、ノーモア西村。
お題「犀」
何かをきっかけに呼びさまされる過去、という歌はよくありますが、金木犀の甘ったるくもどこか切ない薫りが、書かれていない別れまでも想起させる秀歌です。
お題「蹴」
子どもの頃、誰もが一度は遊んだ「缶蹴り」。真っ青な空に吸い込まれていく缶に、急いで隠れなければならないはずのみんなも、そして缶を追いかけるべきオニまでも、ただボーゼンと見入ってしまっている。ルールとか、敵とか味方とか、
そんなものがすっとんでしまう圧倒的な美しさが、あの頃にはそこここにありました。
というわけで、流川さんの歌の魅力の、ほんの一端を紹介させて頂きました。他にも、ちびりそうにホラーな歌や、「惚れてまうやろ〜」なドキッとする恋歌まで、流川さんの百首には一首一首に物語があります。どうか次回題詠blogでも、
たくさんの物語を紡いで下さい!