飯田彩乃(いいだ あやの)さんの短歌

カンダタがつかんだ糸は母さんの白髪みたいな色だったろう
(飯田彩乃/「眩暈リチェルカーレ」より)

泣 け る (;o;)
極悪人カンダタにも母さんがいて、愛され育った幼少期があったのだろうとか、たとえわが子が窃盗殺人のあげくに地獄に堕ちたような人非人でも、母さんは一片の迷いもなく、自分の髪全てを抜いてでも救いの糸にするだろうとか、なんかもういろいろ考えさせられてもうもうもう。名作小説に新たな魅力を加える、こういう短歌もあるのだなあと大感動しました。

飯田彩乃さんの歌集「眩暈(げんうん)リチェルカーレ」は、どことなく幻想的で、じーんと沁みる歌がいっぱい。皆様もぜひぜひご一読をお勧めします。ちなみに湯呑さんは文学フリマで購入するまで「めまいリチェルカーレ」だと思っていたなんてことは内緒です。今回の記事のどこかできんのかんむりとかロマリアとか書いてボケようと思ったけどぶちこわしになるからやめたのも内緒です。

【今後紹介予定のお気に入り短歌:飯田彩乃さん】
出迎えるためにひらいた両腕がクワガタのようでまだ広げてる
(飯田彩乃/「うたらば」ブログパーツ短歌 お題「開」採用歌)
おろかもののように名前を呼び交わす遺伝子のひも解きほぐしつつ
(飯田彩乃/「うたらば」ブログパーツ短歌 お題「解」採用歌)
捕まえたら幸せになれるらしいので秋風のしっぽ、しっぽください
(飯田彩乃/「うたらば」ブログパーツ短歌 お題「秋風」採用歌)
ミサイルの発射スイッチ押すように送信ボタンを叩く毎日
(飯田彩乃/「うたらば」フリーペーパー vol.05「想い人」採用歌)
殖えすぎたクラゲを真水に入れるとかそういうことしか今日はしてない
(飯田彩乃/「短歌の夜明けらしきものをもういちど」より)
たましいのおやつのようなわたあめをゆびでつついてひとなつがゆく
(飯田彩乃/「眩暈リチェルカーレ」より)
戦争は大きなうんどう会なのかそらに引かれたいく本もの白
(飯田彩乃/「眩暈リチェルカーレ」より)
そうきっと僕と君はまごころの「ま」の書き順が違ったんだろう
(飯田彩乃/「眩暈リチェルカーレ」より)
生理食塩水ほどに薄くなる私の中の昭和はやがて
(飯田彩乃/「眩暈リチェルカーレ」より)

つぎのひと>