「石原ユキオ」さんはペンネームで、実際は女性です。どちらかというと俳句を主とする俳人さん
ですが、歌人としても上記のようなビビッドな(?)歌をたくさん作っておられます。
(興味のある方はHP「石原ユキオ商店」へ)
この歌は、何年も前に浮気か何かで作者と大モメの末に別れた元カレが、小さな子どもを肩車しているのをたまたま目撃した、
というようなシチュエーションでしょうか。下の句が物騒ですが、本当に恨んでいるなら今から刺したっていいはずなのに(よくないよ)、実際は何もせずに遠くから見ているだけ。
――やっぱりアンタは私が見込んだ通りのいい男だった。許してやるから、その子を泣かせるようなことだけは絶対すんなよ。
文字面とはうらはらに、そんな優しい許しが感じられる、ドラマにあふれた歌です。
女の人は、時々こういう「抜きうち相性テスト」みたいなことしますね。 ほめればいいというものでもなく、まさに相性で読み解かなければならない最適解。難しいです。 「きっ君の方がずっとキレイだスッ」と噛みまくりながら言ったあげく、「まあまあ面白かったけどアウト」とか言われてる自分が目に浮かびます。
石原ユキオさんは岡山県在住の方で、たまにこのように岡山弁を駆使した(?)方言短歌を作られます。
方言を使うことで、地方で生まれ育った、純朴で情の深いヒロインが想像され、しんみりする良い歌です。
石原さんの岡山弁短歌、もう一つ秀歌があるので、続きます↓
というわけで石原さんの岡山弁短歌、二首目。
よい子の「あるあるのうた」にあるまじきアダルティーな歌ですが、何とも切ない感じが好きです。
この歌でも、方言がいい味出してます。ダメ男に泣かされつつもまだかばう、けなげなヒロインです。